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悪条件重なり過ぎた 長崎の火災で男性死亡 階段150段の斜面地、独居、足が不自由...

 5月7日、長崎市鳴滝の斜面地で民家が全焼し無職の男性(65)が亡くなった。男性は足が不自由で1人暮らしだった。地域の人たちが生活を支え、引っ越し先も探していたが、心配していた火の手が上がった。斜面地、独居、身体の不自由さ...。地域の男性は「今回の火事を教訓にしなければならないが、悪条件がそろい過ぎた。もっと手の打ちようがあれば」と落胆した。
 7日午後9時ごろ、高台から炎が上がった。現場は車が入れない斜面地。消防隊員が約150段の細い階段を駆け上がった。住民は心配そうに階段の下に集まり、ただ炎を見上げるしかなかった。「〇〇さんの家たい」「逃げてくれとればよかけど...」
 約1時間半後、遺体を乗せた担架が静かに階段を下りてきた。
 「何もなきゃいいけど、と地域の人が心配していた」。近くの男性(72)は振り返る。家は斜面を覆う墓地の上に位置する。背後は山林。周囲の宅地とは離れている。火を逃れるには長い階段を下りるしかない。男性は「助けを求めて叫んでも聞こえなかっただろう」とうつむく。自治会の役員らは男性の生活を少しでも支えようと、定期的に家を訪ねていた。役員によると、男性は栄養失調状態で搬送されたことがあったため、家を訪ねる際は弁当を買って持参していた。家ではほとんど横になったままだったという。より生活しやすい物件への引っ越しも勧められており、候補を絞っていたが、間に合わなかった。役員らが最後に家を訪れたのは4月下旬だった。
 長崎署によると、家の内側から燃え広がり、火の回りは早かったとみられる。
 足が不自由になる数年前までは愛犬と散歩する男性の姿を地域の人が目にしていたが、犬は目が悪くなり最近は男性のそばを離れなかったという。火災後、犬の行方は分かっていない。火事について話していた近くの70代女性は、悼むように目を閉じた。「とぼとぼ、犬と散歩していた姿が忘れられない」とつぶやいた。

2020年7月

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